パブリック・リレーションズ(PR)

パブリック・リレーションズ(PR)

パブリック・リレーションズ(PR)とは、自社を取り巻くさまざまなステークホルダー(利害関係者)に対して情報発信や双方向のコミュニケーションを行い、望ましい関係を維持することです。顧客の購買意欲を高める広告宣伝とは異なり、自社への理解や信頼を得るための活動を指します。

パブリック・リレーションズに取り組むメリットは、企業ブランド価値の向上やステークホルダーの拡大、従業員のエンゲージメント向上などの効果が期待できることです。

実践のために必要なパブリック・リレーションズの種類や具体的な手順を理解しておきましょう。

1.広告とPRの違い

広告とPRの違い

広告とパブリック・リレーションズ(PR)は「モノ・サービスを広める」という目的は同じですが、大きな違いは「発信者」にあります。

広告は、企業が広告枠を通じて「主体的」に情報発信していくのに対して、PRは報道機関やインフルエンサーなどの「第三者」が行います。

パブリック・リレーションズ(PR)のように、利用者(第三者)などが伝えることで、広告色のない宣伝になり、情報を受け取る側から「共感」を得られやすくなります。

また、媒体を上手く使うことで「低コスト」で自社のブランディングを実施することができます。ただし、広告と違って自社でコントロールできない部分もあるため、双方を使い分けることが大切です。

2.パブリック・リレーションズ(PR)の種類

パブリック・リレーションズ(PR)の種類

パブリック・リレーションズは、良好な関係を構築したい対象によって以下の種類に分けられます。

メディア・リレーションズ

メディア・リレーションズとは、マスメディアとの関係構築です。マスメディアに対して社会性・話題性のある有益な情報発信やプレスリリースを行うことで、信頼度を獲得し、報道を通じて企業の認知度・理解度向上を目指します。

現状、マスメディアの情報拡散力は大きく、多くのステークホルダーへの影響力を期待できるパブリック・リレーションズです。

インベスター・リレーションズ(IR)

株主や投資家、金融機関などを対象にした関係構築が、インベスター・リレーションズ(IR)です。財務状況・事業計画の適時適切な情報開示により、健全な企業経営や資金調達につなげられます。

エンプロイー・リレーションズ

エンプロイー・リレーションズとは、従業員のエンゲージメント向上や離職防止を目的とした関係構築です。コミュニケーションや社内報などを通じて企業理念の共有を図るといった施策が取られます。

カスタマー・リレーションズ

カスタマー・リレーションズは、顧客やビジネスパートナーとの関係構築です。自社サービスや企業活動に関する情報を発信し、認知度や企業理解の向上を狙います。

SNSによる双方向コミュニケーションや個人による情報発信が普及するなか、顧客との関係構築の重要性は年々高まっています。

このほか、手法から見たパブリック・リレーションズの種類には以下があります。

コーポレート・パブリック・リレーションズ(CPR)

ステークホルダー全体に対して、企業価値を浸透させるための情報発信です。

近年、企業の社会的責任(CSR)が注目されるようになり、企業がみずから理念や社会における企業価値について広く発信することが重要になっています。

マーケティング・パブリック・リレーションズ(MPR)

販促活動と連動させた情報発信です。企業や商品の魅力や価値を広く伝えることによって、市場での認知向上や他社との差別化を図ります。

3.パブリック・リレーションズ(PR)の手順

パブリック・リレーションズは、以下の手順に沿って進めます。

1.状況分析

まず、業界や市場、競合他社の状況についてリサーチや分析を行い、自社の現状や課題、強み・弱みなどを明らかにします。商品やサービスを対象とする場合には、市場での立ち位置や競合との比較も含めて分析しましょう。

これらの分析から、自社の理想と現状のギャップを明らかにします。

2.目的の設定

現状分析の結果から、パブリック・リレーションズの具体的な目的を設定します。目的には、以下のような例があります。

  • 自社の情報を発信して認知を高める
  • 自社の理念を発信し、正しい理解を進める
  • 自社の社会貢献について発信し、企業価値を高める
  • 自社のファンを形成する
  • 問題に対する行動を知らせ、自社の信頼性を高める

つまり、パブリック・リレーションズは経営戦略と関わりの深い活動になります。企業姿勢とずれがないようにしましょう。

3.戦略の立案

対象となるステークホルダー(ターゲット)を具体化し、発信する情報を決定します。

このとき明確にしておくポイントは以下の2つです。

  • ステークホルダーに期待する変容(認知・理解・行動など)
  • 共感性の高いストーリー設定

発信する情報はステークホルダーにとって価値のある情報であることが重要です。以下のような条件を満たした情報でないと、態度の変容には至りません。

  • 事実であること
  • 新しい情報であること
  • 社会的意義があること

現状の課題となっているギャップを解消してステークホルダーの信頼を得るには、倫理観を持ち偽りのない情報を発信することが重要です。

4.戦術の立案

戦略に基づいて、情報発信を行う手段や時期などを具体的に計画します。おもな情報発信手段には、以下が挙げられます。

  • マスメディアを利用した発信
  • プレスリリース
  • イベント開催
  • Webメディアによる発信
  • SNSによる発信

かつて、広く情報発信を行う手段はマスメディアが中心でした。しかし、近年では直接的なコミュニケーションによるステークホルダーとの関係構築の価値が高まっています。

双方向コミュニケーションを実現するためには、ターゲットに応じたSNSの活用は不可欠といえるでしょう。動画サイトやオウンドメディアによる情報発信も一般的なものとなりました。

WebメディアやSNSによる発信は、予算の限られる中小企業にとって取り組みやすい手法です。しかし、即時的な効果が得られるものではないため、情報を更新し続けることが重要になります。

5.KPIの設定

パブリック・リレーションズは、PDCAを回すことがレベル向上につながります。施策の効果を測定するために、適切なKPIの設定も行っておきましょう。

効果測定の評価段階3つと、それぞれの評価に用いられる指標は以下のとおりです。

  • プロセス評価:PR活動の実行度に関する指標
    プレスリリース配信数、メディア投稿数、イベント実施数など
  • アウトプット評価:PR活動による結果を示す指標
    掲載数、広告換算値、SNS反響数、クリッピング数など
  • アウトカム評価:ステークホルダーへの影響や貢献につながる指標
    指名検索数、メディア・オーディット、イメージ調査など

評価にあたっては、数量として表れる定量数値のみならず、ステークホルダーの行動変容を分析する定性数値についても測定しましょう。

6.成果分析

KPIに設定した指標をもとに、成果の分析と振り返りを行います。プロセスやアウトプットに目が行きがちですが、これらは手段に過ぎないため、アウトカムを評価することが大切です。
うまく行かなかった部分については改善を図り、施策の質を高めていきましょう。


RevisionではWeb・オウンドメディアの制作からプロモーション、Web運用のフォローまで、Webのあらゆる業務をワンストップでサポートいたします。実績豊富な各部門のプロフェッショナルが在籍していますので、Webを活用したPRをお考えの企業様は、ぜひご相談ください。