リスティング広告の仕組みと運用方法

株式会社Revision代表取締役山川 晃太郎

最終更新日 : 2023.12.08
リスティング広告の仕組みと運用方法

リスティング広告とは、検索キーワードに連動して検索結果の上位に掲載される広告のことです。GoogleやYahoo!JAPANなどの検索エンジンを利用するユーザーをターゲットにしており、「検索連動型広告」とも呼ばれています。

リスティング広告が掲載される順位は、入札価格や広告の品質によって決まります。広告の効果的を高めるには、明確なKPI設定や市場動向の把握をしたうえで、戦略的な運用が必須です。

1.リスティング広告掲載の仕組み

リスティング広告掲載の仕組み
リスティング広告は、検索結果画面の上位に表示される広告です。掲載場所が上位表示されることで、多くのユーザーの目に留まりやすくなる点がメリットです。

上位表示を勝ち取るには、GoogleやYahoo!JAPANによって評価される広告ランクを上げる必要があります。広告ランクの上昇には、入札単価だけでなく広告の品質が大きく影響します。ユーザーの検索意図に沿ったコンテンツ制作が重要となるでしょう。

広告ランクの算出方法は以下の通りです。

<広告ランクの計算式>
広告ランク=入札単価×広告の品質+広告表示オプション+広告フォーマット

広告ランク=入札単価×広告の品質+広告表示オプション+広告フォーマット
 

2.掲載手順

具体的なリスティング広告の掲載手順は、以下の通りです。

step1. アカウント開設
step2. アカウント設計(配信条件・投稿文作成)
step3. 入稿・審査
step4. 配信開始
step5. 広告運用(PDCA)

step1.アカウント開設

リスティング広告の掲載には、アカウントの開設が必要です。リスティング広告掲載に使用される媒体は「Google」「Yahoo!」が挙げられます。

媒体の選択は、リスティング広告の掲載目的を明確にしたうえで、自社のターゲット層がどの媒体を利用しているかを基点に考えるとよいでしょう。

ターゲット層がどちらにも潜在しているようであれば、2つのアカウントを取得し、検証しながら運用することも手段の一つです。

step2.アカウント設計(配信条件・投稿文作成)

アカウント設計(配信条件・投稿文作成)

次に、アカウント設計に進みます。アカウント設計は、以下4つの階層から構成されており、配信条件などの詳細な設計が可能です。アカウント設計の内容によって広告効果が大きく左右されるため、十分吟味したうえで登録に移りましょう。

具体的な設定内容は以下の通りです。

1.キャンペーン
・広告予算の設定
・配信ネットワーク・デバイスの設定
・配信地域の設定
・入札ルールの設定
・配信開始日と終了日の設定

2.広告グループ
・ターゲティング設定
・入札単価、予算額の設定(※)
※リスティング広告は、掲載媒体により月毎の予算型とクリック課金型があります。どちらも上限額の設定が可能であり、広告予算に応じて調整可能です。

3.キーワード
・広告表示するキーワードの設定
・マッチタイプの設定

4.広告
・広告文の作成・設定

step3.入稿・審査

アカウント設計を決定した後は、掲載の審査に進みます。入稿画面で作成した広告文の入稿・広告見出し・リンク先URL・説明文の入力を行なうと、自動的に審査が開始される仕組みです。

審査では、見出し・説明文・リンク先・画像・動画などに、規定される禁止事項がないかチェックされます。審査時間は最短5分から1営業日以内となっており、短期間で完了します。

step4.配信開始

審査通過をすれば、いつでも配信が可能です。配信開始日を登録していない場合、デフォルトで「当日」(審査通過日)に設定されるため注意が必要です。配信日を設定したい場合は、登録漏れのないようにしましょう。

また、配信タイミングは細かく設定できます。曜日や時間帯まで決められるため、ターゲット層に合わせて微調整を行なうことで、高い広告効果が期待できます。

step5.広告運用(PDCA)

広告を掲載しただけでは、期待する効果は得られません。広告運用は掲載後の効果検証が重要です。

広告運用者は、広告をクリックされた数、検索クエリ、広告内容、キーワードのマッチタイプなどをこまめにチェックします。KPI達成進捗が悪い場合は、予算変更やLPの改善、キャッチコピーの差し替えなどの軌道修正も必要です。

3.リスティング広告の効果的な運用方法

ここからは、リスティング広告を効果的に運用する方法を解説します。

3-1.マーケットの分析

広告を掲載する前には、既存の広告文をチェックし、市場動向の把握が大切です。他社と重なる訴求では高い効果が得られないためです。

例えば、自社で狙うキーワードに既存広告で「お試しセット無料」と掲載されている状況だとします。

自社の広告を「お試しセット50%OFF」と打ち出しても、既存広告に対してメリットが上回っておらず、広告効果が得られにくいのは一目瞭然です。CVRが下がり、費用対効果が低くなるリスクもあります。

リスティング広告の効果を高めるには、市場動向をリサーチしたうえで、独自性のある訴求が重要です。

3-2.適切なKPI設定

効果的な広告訴求には、以下の「5W3H」をもとに、適切なKPI設定をしましょう。

KPI設定が曖昧であると、訴求がはっきりせず、広告訴求をしてもうまく効果が得られないことがあるためです。また、評価指標が明確ではないため、適切な効果検証もできません。

 

<5W3H>

Who(だれに) 訴求したい層
When(いつ) 広告訴求のタイミング
Where(どこで) 広告媒体はどれを選択するか
What(なにを) どのような広告にするか
Why(どうして) 広告を訴求する目的(販売数を向上させたい など)
How(どのように) 宣伝方法、集客手段
How much(いくらで) 広告予算、単価設定
How many(いくつ) キーワード・広告数など

5W3Hによって情報の整理ができるため、KPIが明確になります。目標が定まることで、効果検証も可能となり、軌道修正もスムーズです。

また、目標が明確になれば、かかわる人すべてが共通認識を持って運用できるため、方向性がブレないメリットがあります。

3-3.費用対効果の分析

リスティング広告の成果は、管理画面上に表示され、費用対効果が即時に判別できる仕組みがあります。効果的な広告運用には、費用対効果の分析は必須です。ここではCPAを活用した分析方法の一例を解説します。

<分析方法>

CPA=CV1件にかかる広告費用

CPAから費用対効果を分析するためには、2つの指標(限界CPA・目標CPA)の設定が必要です。計算方法はCV設定によって変わります。

 

1.限界CPA:1件の成果を出すための上限単価(=損益分岐点)
2.目標CPA:1件の成果を出すために目標単価

<計算方法>

・CV「商品・サービスの販売」
顧客単価 ÷ 利益率=限界CPA
限界CPA × 広告費割合=目標CPA
・CV「問い合わせ・会員登録」
顧客単価 ÷ 利益率 × 成約率=限界CPA
限界CPA × 広告費割合=目標CPA

広告運用が適切であるか判断するためには、現状のCPAと目標値の比較が必要です。機会損失が発生しないよう、定期的に効果検証を行ないましょう。


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